約1年1ヶ月もの期間(2017年10月10日~2018年11月8日)蠍座内を運行してきた木星は、いよいよ2018年11月8日21:39に射手座にイングレス(移宮)していきます。その後、2018年12月3日 AM3:22までの約1年1ヶ月ほどの間、射手座内を運行していきます。(逆行・順行を繰り返しはするものの、ほとんど射手座内での運行です)
この約1年1か月の間、蠍座の木星は、私たちに浅く大きく拡げたものを深く掘り下げていく、物事の真贋を見抜く洞察力や探究心を以って真実を追求していくという強い信念を増幅させ、全ての人に対し、マイナーチェンジしながら小さな変化を大きな変革のうねりへと拡げていきました。そして今回木星が射手座に移動したことに因り、流れが変わっていきます。
蠍座の木星がもたらしてきた、個人の中にとことん核心に辿り着くまでやり抜くという責任感、堅忍不抜の努力を要求される場面が多々あったが為に、それが要因となった無用なトラブルや解決しづらい停滞の状況が多く発生してきたことでしょう。そしてそれらは、「探求」「根底から覆す」「物事の核心や真実を追求していく」というような、その前の天秤座の流れから一転して一気にクローズドされていき封建的かつ保守的な流れへと変わっていきました。蠍座の木星が本来の目的や欲求を自覚する切っ掛けを生み出したとして、しかしそれはそれを達成するためのよりクリエイティブ且つ知的な方法論を編み出すということにはなかなか繋がらない…というような問題を突き付けてきたことでしょう。
本物志向や真実追求という面では大きな実りをもたらしつつも、それが各々の個人の内向的な欲求をコアな方向へ導いていく、といういわば徹底した個人主義を貫く、という結果をもたらす代わりに、外的趣向の方向性の如何という点では蔑ろにされてしまった、というウィークポイントも露呈したきたというのもあったかもしれません。

そして、それまで蠍座の木星がその動向を通して求めていた、内向的かつ限定的な範囲内での集中型の力の使い方をしていく、若しくは、各個人の独自の着眼点からなる追求心と各自の徹底した努力の積み重ねを要求されてることが多かったのが、今まで溜め込んでいた蓄積してきた事柄を外に向かって詳らか(つまび-らか)に放出して開放していく(若しくは「解放していく」)という開けっ広げでオープンマインド的な方向性へと運気全体が転換していくこととなっていくでしょう。

そして木星の動きと同様に重要なことが存在します。木星は射手座の支配星(ルーラー)であり、今回は自らの玉座である射手座に回帰することとなります(いわゆる木星回帰、ジュピターリターン)。
そして、今回の木星の射手座入りの前に、木星よりも以遠にある惑星である天王星が牡牛座から牡羊座へと再び戻り逆行していき、それから前に木星がいた蠍座で新月(太陽と月のコンジャクション・0度)が起こります。
射手座の木星は、滞在期間中を通して山羊座の土星とほぼ足並みを揃えて30度のマイナーアスペクトを形成し続けます。初期度数(11度~20度)の頃は蟹座の最終度数付近に居るノード(ドラゴンヘッド・テイル)と魚座の最終度数付近に居るキロンとグランドトライン(正三角形相)を形成していきますがほぼ短期間でその期間は終了、中間度数(11度~20度)以降の度数になると魚座の海王星とスクエア(90度)の座相を形成していきます。また、射手座が木星入りする直前に当たる2018年11月7日AM3:59には逆行中の天王星が牡牛座から牡羊座に再入宮していくため、星座同士の調和が見られます。 
蠍座の木星が魚座の海王星や山羊座の土星・冥王星と吉相で関わっていたりした時は真面目な探求心であったり奉仕精神や社会をよくしていこうという気概に溢れている、という運気がもたらされてきましたが、射手座の木星と関わることがあるのは魚座の海王星とのスクエア(90度)のみ。射手座も魚座も「宗教」や「高次元の意識」の象意を表す惑星であり、それら同士が互いに反りが合わない状態となるため、発展拡大の為に開放的な方向に向かっていこうという木星の足を海王星が引き摺り下ろそうというような図式が運気に見られるでしょう。
また、同時に、社会的な世相は、現在もその影響力を発揮している山羊座の土星・冥王星の影響もあり、保守的で封建的な方向へと突き進んで行くことをとどまらないことでしょう。射手座の木星と魚座の海王星とのスクエアの影響により、人々の中に潜む集合的無意識も混濁の様相でそれが世相に反映し、どことなく殺伐とした無慈悲な雰囲気も、どこかしこに漂ってくるでしょう。
射手座の木星と同様に、魚座の海王星もまた、星座自体の守護星(ルーラー)が回帰しているという状態であり、お互いの星座宮と惑星が完全一体となって徹底した影響力を発揮しているのです。そして前述のとおり、射手座と木星は似たような象意を持つことから本来は親和性が高いのです。しかし、そのポテンシャルはスクエア(90度)という相容れる要素を持たない角度によって不調和となっています。
今回の射手座の木星はほぼ魚座の海王星との座相があるだけとなります。しかし、魚座の海王星には山羊座の土星・冥王星との調和座相(セクスタイル・60度)がかかり、意志の弱さや奉仕精神だけでの献身等の不調和による世相の混沌に対して、もっと建設的に且つ計画性をもってとことん追求するという気概を以ってこそ、意識的な表層心理のみならず深層心理の中の無意識の中に出さえ真理が見い出すことが出来る…という、より高次への意識の成長を高めることとなるでしょう。そしてそれは、社会的通念における理想の実現や、世のため人のためになるような奉仕且つ献身的な精神からなる人間としての活動に繋がり、大きな実りと充実した人生の発展へと繋がっていく道標となるでしょう。 


1.蠍座の木星に絡むアスペクトから約1年1ヶ月間の運気を読み取る  
蠍座に入った木星は、他の天体と様々な角度でその色味を変化させていきます。木星と他の天体との世代相を見ると、全体的には、この1年間は、木星に限らず土星やトランスサタニアン(世代天体)が全て女性星座(地の星座・水の星座)に入るため、星座的な調和もあり、形成される座相も少しずつ落ち着きと堅実さを持った形へと様相が変わっていくでしょう。 

【蠍座の木星と牡羊座の天王星のオポジション(180度)、それに対する射手座の土星の調停】  
蠍座が木星に入ってからも、2017年10月中はこの座相が形成されます。そして天王星がこの座相から次第に外れていくものの、土星とのセクステル(60度)は続行していきます。 

2017年10月10日~11月1日辺りまでの間は、天秤座の木星時代の名残を一新するための「木星の力を発揮する前の準備期間」の時期となりそうです。まだまだ、大きな変化の波は相変わらず押し寄せ続けてくるでしょう。10月下旬になると蠍座の木星はまずその前の10/18頃の水星の蠍座入りにより水星と木星の蠍座でのコンジャクション(0度)、その後10/23 AM3:30には太陽と木星の蠍座でのコンジャクションを形成します。蠍座の木星と射手座の土星とがセクステルを形成するのは、土星が山羊座入りする12/20まで影響力を残していきます。 
この、蠍座の木星と牡羊座の天王星と射手座の土星との座相は、これまで燻っていたり解決できないままで時が過ぎていたような問題、特に政治・経済問題に関して、最後の大改革を起こしていくでしょう。木星と天王星がもたらす「刷新と改革」の力は、この次にもたらされるであろう本当に価値あるものを掴むための序章でもあり最終章でもあるのです。まだまだ「より良い方向に進むための禊(みそぎ)」は続くという意味合いであり、それを乗り越えてこそ、次の課題…理想実現や真理の追求…に改めてしっかり向き合うことができる…ということである、と言えるでしょう。 

【蠍座の木星と魚座の海王星とのトライン(120度)】  
理想の実現及び具現化の到来の時期を迎えます。人々の心に安寧がもたらされ、穏やかな運気を保つでしょう。これまでの運気の荒々しさや激しさは鳴りを潜め、代わりに心の豊かさや穏やかさが求められ、それに対して社会全体で共に発展していこうという前向きな雰囲気が起こるでしょう。人々の心が共感という形でより一層の理想の実現に向けて発展するように、と木星と海王星が調整していくので、人々の心をつかむことが何よりも世相全体の動向に多大な影響をもたらすことになるでしょう。 
蠍座の木星がもたらす丹念な努力と飽くなき追求、高邁な理想と奉仕精神を表す魚座の海王星が、アーティスティックな事柄や精神世界の方面での大きな消費拡大の機運が高まり、経済活動が売り傾向より買い傾向のほうに大きな発展を見せるでしょう。 


【番外編その1・山羊座の土星と牡牛座の天王星との関係、及び他惑星との関係性】 
現在山羊座内を運行している土星は、木星が射手座入りした前後(2018年11月8日)で逆行で牡羊座に再入宮した天王星は2019年1月7日に順行に転じて、2019年3月6日に順行していた天王星が本格的に牡牛座に移動するため、これにより今後2025年7月7日までの6年間は、本格的に金融や経済の発展具合に影響を及ぼす傾向はさらに強まるでしょう。2018年11月8日に木星が射手座に移動しその前日の2018年11月7日に天王星が牡羊座に居る間は、これまでの生き方を振り返ったり主観的な自己分析で本来の生きる目的を再確認したり計画の練り直しや後ろ手に回っていた対応策を講じたりするなど、「リトライ」を主眼に置いた内省の時と言えるでしょう。もう一度やる場合には山羊座の土星・冥王星の圧迫により、さらに社会的な活動や労働問題、経済情勢における「責任」について塾講師なければならなくなるかもしれません。しかしそれは、射手座の木星をより良い方向性へと導くための基礎固めや自己実現への再認識を改めて見い出す大きな転機とも切っ掛けともなるでしょう。
今までの自分の人生を深く考え、大きく活動の範囲の裾野を拡げるには、今年は最適な時期ともいえるでしょう。

【番外編その2・魚座の海王星と山羊座の冥王星とのセクステル】 
昨年に引き続き、海王星と冥王星の好角度は続きます。宗教や精神世界に対しての新しい価値観がもたらされるということに対して良い影響を与える星の配置です。これまでの疎かだった自分への癒しや心の安寧に関して人々の意識が向き、良い方向に向かうように地道な努力を惜しまないようになる、という形で表れてくるでしょう。