土星が山羊座から水瓶座へ…新たな時代への幕開け、そして「個」の在り方を問われる時

2017年12月17日14時05分~2023年03月7日22時35分の期間に土星が水瓶座入りします。
今回の水瓶座の土星は逆行で山羊座に戻ったり順行が進み魚座に少しの期間入って滞在する、というようなことがなく、水瓶座内で順行と逆行を繰り返していきます。
土星が山羊座入りする直前に当たる2日前の12月15日 午前1時16分頃に射手座23度08分の新月(太陽と月のコンジャクション)となります。 この新月は皆既日食を伴う陰陽のエネルギーの反転が起こりやすい特別な新月となりました。そして射手座内で太陽と月が合わさる付近では水星も合わさり、後ろから12月2日に射手座入りしたばかりの金星も追随し、牡羊座の火星や魚座の海王星が不安な気持ちを抱えながらも勇気をもって前に進む、その「陽」のエネルギーに軽やかに飛び立つパワーを与えました。この新月図(新月の瞬間の運行図・ホロスコープ)は、個人にとっては、此処で改めて心機一転を促されていく、将来に向かってただひたすらに前を向く、輝きの向こう側へと飛び立つ為の背中を押してくれたと思います。社会的にも、本来の在り方はこれで良いのかという疑問をもってただひたすらに黙々と努力を重ねていく姿、それが最適解というような飛び立とうとする翼を折るような制限を与えたりしてきたのが、此処でしがらみや苦行から漸く解き放たれ、自分の意のままに生きる人生を肯定していく決意を改めてしっかりと固めていく、というブレない気持ちを、改めて再確認することなったでしょう。

山羊座入りした土星は、先に山羊座に居ついている冥王星を追いかけ追いつき、その後年運を表す木星が2017年に蠍座、2018年に射手座、そして2019年12月3日に山羊座に入り土星・冥王星と合わさり、今回巡ってきた山羊座内での土星はルーラー(支配星)でもある山羊座に回帰すること(サターン・リターン)により、本来の力を他の星座を運行していた時以上に発揮することとなりました。そして何と言っても2020年、トリプル・コンジャクションという(計算上では)約400年ぶりに形成される特殊なコンジャクションが形成されることにより、かつて人類が経験したことのないような未曽有の社会状況の厳しさ・激しさが強まる時代の波に有無を言わさず巻き込まれ、自分というものの「在り方」を社会に普段も特別も無いほどに、ただひたすらに打ち出していかなくてはならなくなる、 自己の内面への追求と社会生活の中でのアイデンティティ(自己実現)を半ば強制的に模索せざるを得ないという「課題」と、自分の人生のみならず他人の人生も担保しなければならない「責任」、それらに向き合って生きていくような生き方を誰もが選ばざるを得ない、社会的状況の変化に合わせて強制的に自己変容を促されて変わっていかざるを得ない、というような抑圧と制限の中で足掻いてでも抗ってでも生きていかなくてはならない「なりふり構わない」というような必至な一生懸命さを誰もが殊更に強制されていくという誰しもが辛酸舐めるような厳しい時期となりました。

今回支配星回帰となる山羊座の土星は、2018年(2017年12月下旬を含む)から2020年12月17日までの期間、土星と同じく社会状況を表す木星そしてトランスサタニアン(時代を表す天王星・海王星・冥王星)が山羊座の土星に強烈な影響を与え続けられることにより、人類全てに自己変容と生き方の改革、そして常識を覆され突然目の前に突き付けられた課題に対し一生懸命に対処しなくてはならない、混沌とした時代の転換点となりました。土星の支配星座宮である山羊座は元々社会を表す星です。この3年間、自らの「原点」に帰って来た山羊座の土星の運行期間中の3年間は、これまで思いもしなかった突発的な事柄や出来事が社会情勢に多大な影響を及ぼし「破壊と創造」をもたらし、全ての人々の意識は根底から覆されました。これは今後、地の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)の時代から風の星座(双子座・天秤座・水瓶座)の時代にシフトしていく為の「生みの苦しみ」「変容に伴う痛み」というメタモルフォーゼのような時代の転換点を乗り越えていかなくてはならない、その為の「課題」であったと言えるでしょう。

60年に一度起こるグレート・コンジャクションが水瓶座0度で起こる意味、そして風の時代の始まり
この後、土星の後を追うかの如く2020年12月19日22時08分に木星が水瓶座入りします。そしてその3日後の2020年12月22日午前3時21分には水瓶座0度49分でコンジャクション(0度)を形成します。
この木星と土星のコンジャクションの形成を占星術では「グレート・コンジャクション」と呼びます。約60年に一度必ず巡って来るコンジャクションで、これまでの約220年の間は地の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)でのコンジャクションがほとんどで(稀に、いくつか特殊な事例あり、ここでは触れません)で起こり続けました。

地の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)の時代は、安定した保守的価値観の元、自分というものを社会に沿って一つの歯車や材料となって組み込まれていくかのような「大きなものに巻かれる」というのが良しとする時代を、山羊座の土星は創り出してきました。しかし、個性の尊重というよりは全体主義ばかりが肥大していき、人間の一人一人よりも全体がどうであるかに比重が置かれるようになると、人々の間には「本当にこれでいいのだろうか」「個人の人生は、こんなものではない」というそれがやがて「理想郷」という「運命共同体」を成したいという集合的幻想へと理想が膨らんでいきます。しかしそれを実現するのは理想や希望だけでは到底不可能なことなのです。
「一つにまとまる」という命題の為に抑圧や制限の中で責任や課題と向き合い、懸命に社会を守り永く久しく維持し続けた日々から、風の時代は、既存の枠を飛び出し棘まみれの茨の道から抜け出し、自らの意思で自由闊達(じゆうかったつ)に行動を繰り広げていく、個性を活かし更にもう一段階上の本質を極めていくというような「個」の尊重を常とし良しとする時代へと徐々に変わっていくでしょう。
そして、その序章としてのこの水瓶座土星の期間は、「これまでを振り返り知性をもって本質を見直す」「造り上げたものをさらに進化させる」という命題を背負って生きていく、社会的状況や現実という荒波の中で自らの成長や進歩を糧に理想を実現する為の能動的な努力を惜しみなく続けていく決意を新たに固めることになるでしょう。
風の時代の始まりを告げるファンファーレとなる土星の水瓶座入りは、今回の水瓶座の「副支配星」回帰となるため(土星は、山羊座にとっては主支配星、水瓶座には副支配星。天王星が発見される以前、土星が支配する星座は山羊座そして水瓶座でした)、土星の山羊座時代ひいては地の時代と同じような課題を突き付けてくるでしょう。それは未だ残る課題や未解決の問題についての片付けや後始末を余儀なくされるということになるでしょう。
しかしそれは、地の時代とは全く違うやり方、方法論で成し得ていくのです。節制は知恵を以って解決したり人と人との結束の強さで成し遂げられる、努力の方向は保守から革新へ、圧力には屈せず反旗を翻し押し返す、そのような形に変わっていきます。ブレない気持ちと意志の強さを持ち、掲げた理想やビジョンに向かって前進していく為の原動力となるでしょう。人の和を重んじ遠慮や我慢を自らに強いるような時代は次第に鳴りを潜めていき、自身の信念を信じて意志を貫き、プレゼンやコミットメントを表現し困難にもポジティブに前向きに捉える考え方が芽生え、様々な形の理想の実現を達成しより大きな収穫を約束されることでしょう
ちょうど水瓶座0度で始まる風の時代は、集団に頼ったり守られたりする時代から社会や他人と平等に渡り合い関わり合いつつ自分の意思や信念をもって個人単位で行動していく、そんな「個の集合体」という新しい概念を構築していく「ゼロ地点からのスタート」を示唆しているものと言えるでしょう。

土星が水瓶座を運行する期間の年毎の運気の傾向
【1】(この記事の下記リンクからご覧ください)で既に書いているものに加筆するという形で、2021年・2022年・2023年のと仕事の運気の傾向を読み取っていきます。


2021年
2020年に続きこの年も、水瓶座の土星と牡牛座の天王星とのスクエア(90度)は続きます。この土星と同じ水瓶座に木星がおり、ほぼ平行につかず離れずの距離感を保つような状態で土星と水瓶座に滞在します。しかし、5月14日~7月28日までの2ヶ月と2週間の期間は魚座に木星が入ります。その期間中だけ、少し状況が停滞若しくは飽和したような様相となりそうです。7月28日以降12月29日まではまた再び木星が土星と共につかず離れずのスタンスで同じ水瓶座に滞在・運行します。そこでまた再び、古い社会的伝統と新しい意識や価値観の軋轢と対立そして改革推進への波がやってくる可能性が高まるでしょう。
また、6月12日~8月29日には獅子座に、10月30日~12月13日は蠍座に、それぞれに火星が運航していきます。この火星は不動宮(牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座)内でのTスクエア(T字相)を形成します。もう一度2020年3月31日~4月19日辺りまで形成されていた火星・土星ー天王星とのスクエアの象意を、より激しい形で再来させます。社会的な不調状態はこの時にも厳しい状況を追加しつつ殺伐とした不穏な空気感を伴ってくるでしょう。

2022年
この年も、変わらず、土星ー天王星とのスクエアは1年間変わらずに継続されていきます。 8月1日~8月15日には牡牛座に居る火星、そして獅子座の太陽が、土星ー天王星とのスクエアに加わってグランドクロス(十字相)を形成すると、世界規模での殺伐とした鈍重な停滞感が世の中の空気を支配していくでしょう。発展を見込むよりは自分たちの主義主張を言い争い反目し合う、というようなことが起こり得るでしょう。互いの主張を譲らず頑なに保守することが良しとされる風潮に風穴を開けようとする勢力とが拮抗し合います。しかし、9月15日から12月10日までは双子座の火星が水瓶座の土星を援護する形でトライン(120度)を形成していきます。言動に「実(じつ)」が伴うようになり、理論的で無駄のない確実な言動や計画性が軽やかでスマートな瞬発力も加わって、より一層素早く弾むようなエネルギーの発露そして機敏且つ機転の利いた采配力が社会の停滞の現状打破を生み出す可能性があるでしょう。12月10日以降は双子座の火星とのトラインを解消して行く為、個人の運気に置いて、気が削がれたり少々言動があやふやになったり状況が落ち着きをなくすというようなことがあるかもしれません。

2023年
前年から土星ー天王星のスクエアの座相を離れ始まった水瓶座の土星は、3月7日に土星が魚座入りするまで、単独行動のようにあり続けます。一度、2月中に双子座の火星がトラインを形成し助けを得られますが、これは今までの土星の水瓶座時代を統括する為の総まとめの為に動く、と言うような事を余儀なくされる、という事を表しているといえます。これまで理想通りに動けたのかどうかを反省し次に活かすべく、目的意識を以って過ごしていくことが大切です。


【1】はこちら↓
3/22土星が水瓶座入り…約3年間のうちに与える水瓶座の土星の影響について【1】