2023年5月17日2:21頃に木星が牡牛座に入ります。この木星の牡牛座入りはこの日から翌年2024年5月26日までの約1年間で続くものであり、今回のの牡牛座木星期間のうちに、冥王星は水瓶座→山羊座→水瓶座というような変遷を辿る運行状況となり、この木星の牡牛座期間は、牡牛座のテーマに即した「全体の歳運」を表すこととなります。
今回の木星の牡牛座入りがどのような影響を及ぼしていくのか、その運気模様を解説し占っていきたいと思います。

1:木星という存在と概念、牡牛座の木星の象意、及び木星図を読む
木星は社会占星術においては木星が星座内を運行していく期間が大体1年前後、稀にこまめに移動して合計1年くらいとなる時もありますが、その期間中の「歳運」を表しています。木星は「幸福をもたらす星」「発展の星」とよく言われますが、社会的な運においては「拡大援助の星」であり、その「拡大」は小さな事が大きく成長していったり余計なお世話のほうへと親切のベクトルがあらぬ方向に行ってしまったり、必ずしも手放しの意味での「幸運」は得られないものであると悟らせ学ばせるという本格的な正統性を促していくという意味をも持つものと言えるでしょう。
社会占星術(マンデンホロスコープ)において牡牛座の木星の象意はズバリ「金」「経済」。そして「価値観」「感性」「芸術文化(支配星が同じ金星である天秤座とは多少違い、一般大衆に受け容れられるアート、芸能方面)」「製造(メーカー)」「感覚を使うもの(グルメやレジャー、等)」を表しています。これらの各分野において発展拡大の運を招いていくものと言えますが、今回の牡牛座木星は天王星とのコンジャクション(0度)により影響力がこれまでの牡牛座木星期とは少し違う変わったものとなるでしょう。木星牡牛座期間のうちに更に奥深い強力なパワーを発揮するという冥王星が山羊座と水瓶座を行ったり来たりする関係で(しかしこの冥王星の動きは、2024年~2025年の木星が双子座に移動したときにもその期間内に於いてそのような星の動きを見せる)、価値観の揺らぎがいつも以上に激しくなったり、これまでの概念を覆されるような、世界観が一変させられるというような激しい「意識の革命」が起こりやすい時と言えるでしょう。



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(生起時間を、木星を00°00'とする便宜上でAM2:21としています)
また、その木星図(木星が星座移動した瞬間の運行図)…イベントチャートを見ると、牡羊座に入宮したばかりの木星は上昇宮(アセンダント)下の第1室に位置します。その他の惑星の配置もみると、まず目につくのは特殊座相。太陽・火星・海王星・冥王星とでクレイドル(台形相)を形成、このクレイドルは火星・木星・冥王星とでのTスクエア(T字相)と共にクリスタル(特殊な複合座相)を形成しています。木星はこのクリスタルの頂点軸に居る状態となり、これは木星がメインの立場に居て大きな影響力を発揮していくという象意を表しています。
また、惑星天体の殆どが上昇宮(アセンダント)を中心とした東半球に集まっていることから自分の中の意識についてどんどん先へと進めていく積極的な行動力、そして反対の西半球に当たる第4室そして第5室カスプ上(第5室内)と、互いにつかず離れずで居る状態の蟹座の金星・火星の要素からして、どんなに厳しいことがあっても心の根底に博愛的な愛情を抱えているからこそ安心して強気で行動力を発揮していくでしょう。また、蟹座の火星は第11室に居る水瓶座0度の冥王星とオポジションを形成。自ら沸き立つような思いや感情に行動のベクトルが思いがけない方へと向かいやすい時と言えます。この第5室カスプ上の蟹座27度の火星―第11室の水瓶座0度の冥王星には第1室の牡牛座の木星が、まるでけん制し合ってるかのように対峙した格好でいます。思想や感性の違いを互いに認め合い「個」を尊重する姿勢を貫くこと、何が起きても自分を信じ怯まない姿勢が、木星をより発展性のある影響力を持たせるものとなってくれるでしょう。


2:木星に絡むアスペクトから木星牡牛座期間の運気を読み取る
【木星牡牛座期間内の運気の傾向・状況(2023年5月17日~2024年5月26日)】
5月17日午前2時20分に牡牛座に入った木星は、翌年5月26日08時14分まではずっと牡牛座内を運行していきます(途中、9月04日22時33分 牡牛座15°34'~12月31日11時38分 牡牛座05°34'の期間は逆行)。その期間中、山羊座最終度数付近~水瓶座初期度数付近を運行していく冥王星とスクエア(90度)並びに魚座の土星とのセキスタイル(60度)を形成したり、一番の特筆すべき事は同じ牡牛座にここ数年ほど滞在している天王星とのコンジャクション(0度)の形成、牡牛座の後半(15°~29°)辺りに木星が来たときの魚座第3デーク(魚座20°~29°)の海王星とのゆるいセキスタイル(60度)の形成、それらの木星とのアスペクトが歳運に1年間通して影響を及ぼしていきます。
このうち特に、牡牛座内での木星と天王星のコンジャクションは、社会の運気にも大きな影響を与えます。木星と天王星のコンジャクションが起こる期間は良い方向へ発展する為の改革、技術革新、時代の先駆者の登場、社会の変化のスピードを速め新しい意識革命を起こす、それらの象意があり、それらが牡牛座で起こるということは、「価値観」「経済」「財政」「金銭」「資本」などに大きな変化が起こって来るということを暗示しているものと言えるでしょう。以下に、木星の他惑星とのアスペクト形成が及ぼす影響を解説していきます。
また、第6室及び第12室は狭在(ホロスコープにおいて、あるハウスの中に1つのサイン(星座)が丸ごと入った状態を「インナーセプト」と呼ばれる)となり、また、魚座の土星そして魚座の支配星である海王星が居ることもあり、無意識のうちに自分の行動の幅を狭めさせてしまったり引っ込み思案だったりするなどして裏へ奥底へ…と隠れてしまいがちに。それが本当に大切な事であれば遠慮せず譲ることもせず妥協をせず、しっかりと自分のものとして認識を明らかにしていくべきであるでしょう。

【木星の運行の状況とそれに伴うアスペクトとその影響】
(1)2023年5月17日~6月10日 牡牛座に入ったばかりの木星は、水瓶座0度の冥王星とスクエア(90度)そして魚座の土星とはセキスタイル(60度)を形成していきます。そして木星―冥王星のスクエアの座相には蟹座最終度数から獅子座初期度数まで運行していく火星ともスクエアを形成、火星・木星・冥王星とでTスクエア(T字相)を形成していきます。このTスクエアは、日本の国内外を問わず社会情勢を荒立たせ引っ掻き回す、それまで避けていた事柄や頑なに拒否していた事に対して今一度無理やりにでも対峙させられる、等「強硬で覆していく」という大きな変革を表しているものと言えます。それは、社会全体の反権力志向も膨張するかのように高まっていくことも示唆しているものと言えます。社会に限らず、個人の中であっても、その争いはいたるところで勃発してしまうと言えるでしょう。 冥王星の動きが非常に活発化していく中で、魚座の土星がやんわりと、しかししっかりと、ブレーキをかけてきます。人の心を動かしていくのは大きなところで言う「人類愛」であると言えるのでしょう。
(2)2023年8月17日~10月5日 牡牛座での木星・天王星のコンジャクション(0度)の第1回目の期間。オーブ(角度差)緩めながら、木星と天王星のコンジャクションがほぼ単独で続きます。この間、牡牛座の木星・天王星の合座相の影響が緩やかではありながらも及ぼされていく為、これまでの社会的な常識や価値観や古き伝統は悉く崩壊の憂き目に遭ったり一新されたりして全く新しいものとして生まれ変わるでしょう。これは次の2回目(2024年3月5日~5月26日)の木星・天王星の合座相が起こる期間内でも同じ影響がありがそれはもっと激しく厳しいものとなるでしょう。



3:木星牡牛座期間内の星座への影響
今回の木星の牡牛座への移動で、各星座の生まれの人たちに大なり小なりの影響が約1年間波及します。
今回の木星牡牛座期で、発展運があるのが地の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)生まれの人たち。いろいろな場面で状況を現実に沿う形に変革の手を加える立場に置かれることになりそう。新しい事を始めるというのは「現実にどれだけ沿えるのか」が焦点になること多々あり、実際に「今はまだ概念であるじょうたいのものを形にすること」を叶えようとする努力により大きな発展を与えていくことになるでしょう。地の星座生まれの人は人生のテーマをより高く大きなものへと昇華することが出来ると言えそうです。
水の星座(蟹座・蠍座・魚座)生まれの人にも牡牛座の木星は良い方向に進んで行ける燃料を与えてくれる存在となります。とりわけ、現在土星が運気模様に重石をかけている魚座生まれの人は、その重石が逆に重さが緩和され建設的な方向に運気が向きます。また、蠍座生まれの人には今までに無かった人脈が拡がる好機を迎えることになりそう。蟹座の人は地盤を揺るぎないものにする強固な礎(いしずえ)を築くことになりそう。
火の星座(牡羊座・獅子座・射手座)生まれの人や風の星座(双子座・天秤座・水瓶座)生まれの人には緩やかな下降のカーブを描くような運気に変わっていきますが、牡牛座と同じ不動宮(牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座)生まれの人には激しい運気の波が絶えず大きく荒い波乱としてやってくることになりそう。しかしそれは、本格的な冥王星水瓶座期間に向けた「生まれ変わり」の為の修行のようなものになりそうです。
活動宮(牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座)のうち牡羊座・天秤座の生まれの人たちにとっては「思っていた事を現実的に形にする」ことに重点が置かれることになりそう。新しいモノを生み出す不断の努力や固定観念を覆す意識改革など、やらなくてはならない事が多く出てきそう。それらを一生懸命にがむしゃらにやっていかなくてはならない遣り甲斐のある1年となりそうです。
柔軟宮(双子座・乙女座・射手座・魚座)のうち双子座・射手座生まれの人は地道な努力が来年の木星の双子座期間に花開くことでしょう。疎かにしたり敬遠したりしていた事に敢えて真正面から取り組むことで成果を積み上げていくことが大切になる時期と言えそうです。
不動宮(牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座)のうち牡牛座を除く他の星座の生まれの人達にはイレギュラーな運気の波に翻弄されそう。その中で、今まで培ってきた価値観が一気に崩れ落ちそうな予感も。しかし信じてきたものが形骸化したことに対し、そこから新しい価値観や発想を模索したり生き方の志向を生み出すきっかけとなりそうです。